番号 |
役 |
台詞(薄字は注釈、描写) |
注釈 |
001 |
アトリ |
「オーッホッホ! 今日も辛気臭い面引っ提げて下向いてるカケス町の男ども、顔を上げなさい! みーんな、アタシの好みの男になーぁれ! オーッホッホッホ」 |
高笑い |
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002 |
アトリ |
「あらぁ~、アンタなかなか可愛い顔してるじゃない。もうちょっと髪の色明るくして伸ばしたらイケてない事もないんじゃないかしら」 |
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003 |
葦切 |
「近寄らないでください変態鳥野郎」 |
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004 |
アトリ |
「んまー、栄養偏ってるわね。ちゃんと食べなさいよ肉がつかないじゃない」 |
セクハラ |
005 |
葦切 |
「なんなんですか、ここのところ毎日毎日行く先々に現れて! 人が弁当食ってるの邪魔しないで貰えます!?」 |
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006 |
アトリ |
「アンタ好き嫌い多いでしょ、だから体力つかないのよ。ほらこれも食べなさい、これも体に良いから」 |
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007 |
葦切 |
「う、うわ、ちょっと!」 |
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008 |
アトリ |
「アンタみたいなヒョロガリなんて、筋肉がつかなければ魅力台無しよ! まるまると肥えてしまいなさい!」 |
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009 |
葦切 |
「だ、誰か! 誰か助けて~~」 |
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010 |
ヒワ |
「大丈夫です、ご安心ください。変身! この魔女っ娘ヒワちゃんに、ドンとお任せください!」 |
自信満々 |
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011 |
ヒワ |
ポイズンマギア |
タイトルコール |
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012 |
ヒワ |
「怪人アトリ! 許しませんよ!」 |
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013 |
アトリ |
「来たわね魔法少女。噂通り少しでもやらかすとすぐ現れるようね。さあ、思う存分この私を踏んでいきなさい」 |
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014 |
ヒワ |
「こんにちは、そして死ね!」 |
顔面パンチ |
015 |
アトリ |
「へご!」 |
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016 |
ヒワ |
「貴方みたいな、なんでもかんでも世話を焼いちゃうようなやつが世の中の男をダメにするんですよ!」 |
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017 |
葦切 |
「ヒワちゃん!? 君、近所に住んでるヒワちゃんだよな、なんてトチ狂った恰好を……」 |
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018 |
ヒワ |
「違います、三津階ヒワおよび既存の魔法少女とは一切関係ありません」 |
棒読み |
019 |
シギ |
「彼女はれっきとした宇宙人です」 |
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020 |
ヒワ |
「仕方ない、出直しますね」 |
やる気を削がれる |
021 |
葦切 |
「ちょっと待て、俺を助けろ!」 |
慌てる |
022 |
ヒワ |
「子供に助けを求めるなんて男としてプライドないんですか恥ずかしくないんですか。警察でも呼んだらいいんじゃないですか?」 |
軽蔑 |
023 |
葦切 |
「こんなわけわからん連中に囲まれてるところに呼べるか! うっ!」 |
殴られる |
024 |
ヒワ |
「魔法少女の正体がバレるという危機を強引に回避し! ここで取り出したるは! 釘バット!」 |
|
025 |
葦切 |
「記憶が飛ぶとこだったわ、やめろ大怪我するぞ! 俺が!」 |
|
026 |
ヒワ |
「イヤダナァ、これはれっきとした魔法ですよ」 |
棒読み |
027 |
葦切 |
「やめろやめてくれ、そんな物で殴ったら大変な事になる!」 |
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028 |
アトリ |
「あっ、やめっ……悪くないわね、癖になるわ! もっと! さあ、もっと!!」 |
|
029 |
ヒワ |
「うわ気持ち悪っ」 |
ドン引き |
030 |
アトリ |
「そこじゃないわ、もうちょっと……ああっ!」 |
|
031 |
葦切 |
「すみません警察ですか! 幼女がよく分からない黒ずくめの男に殴る蹴るなどの暴行を加えており」 |
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032 |
シギ |
「ちょっと、余計なことはやめてくれます!?」 |
割り込んで携帯を奪う |
033 |
葦切 |
「俺の携帯!」 |
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034 |
シギ |
「警察なんかに通報されてN○SAにでも連行されたらどうするんですか、キャトりますよ」 |
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035 |
葦切 |
「アッハイすみません」 |
|
036 |
アトリ |
「くっ……やるわね魔法少女、アンタなかなか心得てるのね。ちんちくりんなクソガキって事だけが惜しいわ」 |
|
037 |
ヒワ |
「まったく人騒がせな怪人ですね。真昼間から暇な大学生誑かして遊んでないで、怪人は怪人らしく作戦でも練ったらどうですか」 |
|
038 |
アトリ |
「アタシには野望があるんだからそんな暇ないわよ、お子様はこれだから駄目ね」 |
|
039 |
ヒワ |
「どこからどう見ても暇人ですよ。真昼間からこんなところで何してるんです?」 |
|
040 |
アトリ |
「見れば分かるでしょう。お宝探して探索してんのよ、アタシの野望に必要な光る原石をね!」 |
|
041 |
シギ |
「光り物が好きなカラスかな……青少年の教育に良くないよ」 |
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042 |
アトリ |
「チッ、仕方ないわね。見てなさいよ、また来てやるんだから。オーッホッホ」 |
高笑いで退散 |
043 |
シギ |
「懲りないなーもー」 |
|
044 |
葦切 |
「なんなんだよもう……」 |
ぐったり |
045 |
ヒワ |
「無事ですか? 葦切さん。栄養不足に困っているなら、このヒワが魔法でなんとかしますよ!」 |
|
046 |
葦切 |
「魔法って、どうやって……栄養不足?」 |
|
047 |
ヒワ |
「葦切さんのバランスの偏ったお弁当よ、焦げもすべて栄養になーれ! これでバッチリです! 報酬はピザでいいですよ!」 |
ドヤ |
048 |
葦切 |
「帰れー!! 何しに来たんだお前らー!」 |
|
|
|
|
|
049 |
ヒワ |
「怒られてしまいました。どうしてでしょうか」 |
無反省 |
050 |
シギ |
「ちょっと怪人アトリをボコボコにしすぎちゃったんじゃないの」 |
|
051 |
ヒワ |
「あいつはいいんです、蹴られて喜ぶような奴なので存在が害です」 |
|
052 |
シギ |
「寧ろ最近はそれ目当てに出てきてるような気さえするんだけど……」 |
|
053 |
ヒワ |
「今までの被害者は早々に逃がせばアトリも諦めたんですけどね。今回に限ってはしつこいですね、葦切さんも甘んじて受け入れてるような部分ありますし」 |
|
054 |
シギ |
「なんでだろうねぇ。あんまり一つに時間をかけてもいられないんだけど……もしかしてそういう趣味でもあったりして」 |
|
055 |
ヒワ |
「冗談にもならない事言わないでください」 |
|
056 |
シギ |
「だってー、全力で抵抗したっておかしくないじゃないか。通報くらいするでしょ」 |
|
057 |
ヒワ |
「警察に引き渡したって人間じゃないですから、役に立ちませんよ」 |
|
058 |
シギ |
「そうかなぁ」 |
|
059 |
ヒワ |
「そうですよ。葦切さんはきっとアトリに何か弱みを握られてるに違いありません。そうとなったら早く葦切さんを見つけて助け出さなければ!」 |
|
060 |
シギ |
「君そういうちょっと思い込みが強いところあるよね――ヒワ、あっちに怪人が出没した!」 |
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061 |
ヒワ |
「まったくもう、気が休まらないですね!」 |
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062 |
少年 |
「お母さん助けて、変な奴がいるー!」 |
怯える |
063 |
ネバット |
「野菜が食えないというのか小僧、野菜が嫌いなガキはこうしてやるぞー!」 |
|
064 |
少年 |
「うわああ、僕の嫌いなピーマン! カゴに盛らないで!」 |
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065 |
ネバット |
「なぁんだと~貴様ぁ~、俺様の野菜スープが飲めないのか~~」 |
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066 |
ヒワ |
「困った人ですね。野菜が苦手なお子様もなんのその、この魔女っ娘ヒワちゃんにお任せください!」 |
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067 |
ネバット |
「なぁんだ~、俺様の邪魔をするのか」 |
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068 |
少年 |
「うわーん! 変なのが増えたー!!」 |
|
069 |
ヒワ |
「ご安心ください少年、栄養なら私の得意分野です! じゃーん、野菜ジュース! 一日これ一本あれば必要な栄養が足りちゃうんですよ! 世の中便利になりましたね!」 |
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070 |
シギ |
「本当はそれを飲むなら同じだけ野菜食べた方が健康なんだけどね」 |
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071 |
ヒワ |
「何よりお子様でもご安心、ジュース感覚で飲みやすい! 質素なご飯もこのヒワちゃんの魔法にかかればこの通り! 切り刻んでカレーにしてしまうのです!」 |
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072 |
少年 |
「どっちもヤダー!」 |
|
073 |
シギ |
「怪人ネバット、密航の容疑で逮捕する!」 |
|
074 |
ネバット |
「ゲェッ、貴様宇宙管理局のエージェントか! こんなところにまで出てくるなんて卑怯だぞ」 |
|
075 |
ヒワ |
「卑怯も何もありますか! 密航した揚句、地球のみなさんにご迷惑かけるなんて許せません! 大人しく外に出なさい!」 |
|
076 |
ネバット |
「誰が大人しく従うかぁ! こちとら地球の自由を謳歌してるんだ俺様の邪魔をするんじゃ――」 |
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077 |
葦切 |
「ま~た~お前らか」 |
イライラ |
078 |
シギ |
「あ、葦切」 |
|
079 |
葦切 |
「騒がしい奴だな! 公共の場所では静かにしていろ!」 |
|
080 |
ネバット |
「ふぐっ!」 |
ゲンコツ |
081 |
少年 |
「ヒィッ」 |
ビビる |
082 |
ヒワ |
「葦切さん! なぜここに」 |
|
083 |
葦切 |
「一人暮らしが買い出しに来たら都合悪い事でもあるのか、なんで俺の行く先々に現れるんだよお前らは」 |
|
084 |
ネバット |
「野菜炒めも食べろ~」 |
断末魔 |
085 |
ヒワ |
「葦切さん有難うございます、ご協力感謝します! すぐ説明しますからちょっと待っててくださいね! さあネバット、管理局に送り返しますよ」 |
|
086 |
シギ |
「葦切ちょっと待っててよ、話があるんだよ」 |
|
087 |
葦切 |
「知るかよ、俺は帰る。もう二度と俺の前に現れんなよ――ああっ、長ネギ折れてるし!」 |
|
088 |
シギ |
「待ってよ~手柄を奪われた上に逃げられるなんて話にもならないじゃないかー」 |
|
089 |
ヒワ |
「お待たせしました! あれ、葦切さんは?」 |
|
090 |
シギ |
「帰っちゃった」 |
|
|
|
|
|
091 |
ヒワ |
「私の魔法は野菜が苦手な子供だって救えるのに、葦切さんには何が足りないんでしょうか……カルシウム?」 |
|
092 |
シギ |
「そりゃあ、魔法は使えば使うほど社会的に信用をなくすからね。時と場合を選ばなきゃ」 |
|
093 |
ヒワ |
「時と場合?」 |
|
094 |
シギ |
「魔法は万能じゃないんだ、本当に大切なことは魔法に頼ってちゃいけないよ」 |
|
095 |
ヒワ |
「本当に大切なこと……」 |
|
096 |
シギ |
「君がいるのは地球だからね。人間の常識に従わなくちゃ。ハチャメチャな宇宙人に合わせてたら変人に思われても仕方ないよ」 |
|
097 |
ヒワ |
「……そっか。そうですね。それは確かに魔法で解決しようとしてはいけないですね」 |
|
098 |
シギ |
「あっ分かってないなこれは……」 |
独り言 |
099 |
ヒワ |
「だって魔法少女になって目下やる事といえば、変態探しと変態退治と変態の強制送還ですよ。影響されない方がおかしいってもんです。もうちょっと楽にお金が稼げれば――」 |
|
100 |
シギ |
「いやいや自制しようよ、基本的に管理局から支給されてる給料以外は慈善事業だよ」 |
|
101 |
ヒワ |
「そもそもがですね。こんなことになったのはすべてシギの所為なんですよ。思い出してくださいよ、ホラ」 |
|
|
|
(回想) |
|
102 |
シギ |
「助けてくれ、君の力が必要なんだ! 君は選ばれた少女なんだ」 |
|
103 |
ヒワ |
「……は? 何言ってるんですか、早く出て行ってください。しっ、しっ」 |
|
104 |
シギ |
「害獣じゃないから安心してよ! 本当のことだよ、僕は宇宙管理局のシギ、話を聞いてよ」 |
|
105 |
ヒワ |
「簡潔に済ませてくださいよ」 |
|
106 |
シギ |
「最近地球への密航者が絶えなくてね。管理局は人間にバレる前にこっそり連れ戻そうとしてるんだけど、人手が足りないんだ。そこで、君には魔法少女になって僕らを手伝って欲しい。地球で暴れる怪人を捕獲して欲しいんだ!」 |
|
107 |
ヒワ |
「そんな事言っても、私魔法なんて使えませんよ」 |
|
108 |
シギ |
「それに関しては安心して、これを使ってよ! 魔法アイテム・釘バット! これさえあればどんな大男も一発でノックダウン!」 |
|
109 |
ヒワ |
「そんなもん振り回したら危ないじゃないですか!」 |
|
110 |
シギ |
「当たり前じゃないか、相手は君より強いんだから。ま、頑張ってよ」 |
|
111 |
ヒワ |
「私まだやるなんて言ってません~!」 |
|
|
|
(回想終了) |
|
112 |
シギ |
「そういう事もあったね」 |
|
113 |
ヒワ |
「ね? やるからには私の好きにやらせてもらうっていう約束ですよ」 |
|
114 |
シギ |
「ちゃんと捕獲してくれるなら手段は問わないし、別にそれでもいいけどさ」 |
|
115 |
ヒワ |
「何か問題が?」 |
|
116 |
シギ |
「いや……別に……致命的に評判が悪いと思って……業務に支障が出ないといいなぁ」 |
|
|
|
|
|
|
|
(公園前の自販機で飲み物を買おうとしている葦切) |
|
117 |
葦切 |
「あー今日もひでえ目に遭った……いつになったら逮捕されんのかなーあの変態。また帰ったらいるんだろうなあいつ、帰りたくねぇー……あれ、出てこねぇぞ」 |
|
118 |
ヒワ |
「綺麗に引っかかりましたね、自販機は蹴っちゃだめですよ」 |
|
119 |
葦切 |
「ヒワちゃん……帰れって言ったよな?」 |
|
120 |
ヒワ |
「そんな時はこの魔法アイテム、釘バット! ふんっ!」 |
|
121 |
葦切 |
「自販機は蹴るなって今言わなかったか!?」 |
|
122 |
ヒワ |
「蹴ってません、問題ないです」 |
|
123 |
葦切 |
「ありすぎるわ!」 |
|
124 |
シギ |
「それより聞きたい事があるんだよ葦切」 |
|
125 |
ヒワ |
「昼間の怪人の事です。最近よく付け回されてるんですか?」 |
|
126 |
葦切 |
「家に帰ると……よく勝手に飯が用意されてる。最初は怖えーなって思ったんだけど……なんかだんだんマヒしてきちゃって……」 |
|
127 |
シギ |
「住居不法侵入罪じゃないか、なんで通報しなかったんだい」 |
|
128 |
葦切 |
「ちょっと便利だなとか思ったりもしました!」 |
|
129 |
ヒワ |
「気持ち悪いだけじゃないですか。なんで追い返さないんですか?」 |
|
130 |
葦切 |
「俺は諦めた。あいつはしつこい、それも死ぬほどしつこい。そして思ったより悪さしない。具材さえ置いておけばあとは勝手に炊事洗濯掃除してくれるんだ……」 |
|
131 |
シギ |
「危機感ないぞこの男……」 |
|
132 |
ヒワ |
「やっぱり世の中の男をダメにする怪人じゃないですか。他にアトリに狙われる心当たりはないんですか?」 |
|
133 |
葦切 |
「そんなものが分かったら今頃苦労してねーよ、俺が知りたいくらいなんだ。そんな事よりお前もう帰れよ! ガキが遊ぶにはもう遅い時間だぞ! 親は何やってんだまったく――」 |
|
134 |
ヒワ |
「いませんよ」 |
|
135 |
葦切 |
「えっ……?」 |
動揺 |
136 |
ヒワ |
「私に両親はいません。お父さんもお母さんも、いないんです」 |
|
137 |
葦切 |
「そ……それは、悪い事を言ったな、ごめん……そもそも、ヒワちゃんはなんでこんな事やってんだよ」 |
|
138 |
ヒワ |
「このマスコットみたいな宇宙人と契約したからですよ。私のお仕事です」 |
|
139 |
葦切 |
「契約?」 |
|
140 |
ヒワ |
「はい。悪の組織に人質に取られた両親のために、私は日々悪い怪人をやっつけるんです!」 |
|
141 |
葦切 |
「ヒワちゃん……まだ小さいのに随分しっかりして――」 |
|
142 |
シギ |
「まあ全部嘘なんだけど」 |
|
143 |
葦切 |
「嘘かよ!」 |
|
144 |
シギ |
「街を騒がせる怪人をこつこつ退治するのは魔法少女の役目」 |
|
145 |
ヒワ |
「まずは町内のトラブルを華麗に解決し、人望を得る事!」 |
|
146 |
ヒワ |
「目指すは世界征服!」 |
|
147 |
シギ |
|
148 |
葦切 |
「駄目だこいつら……」 |
|
149 |
ヒワ |
「それはそうと葦切さん、早くお家に帰った方がいいですよ。また怪人が現れないとも限らないので」 |
|
150 |
葦切 |
「はあ……本当ならそれは俺の台詞なんだけどなぁ……」 |
|
151 |
ヒワ |
「私なら大丈夫ですよ。ちょっとやそっとじゃやられません」 |
|
152 |
葦切 |
「そりゃまあ、あんな釘バット持ち歩いてるんだからそうなんだけど――君だって女の子だろう、ちょっとは俺を立てて家まで送られていきなよ」 |
|
153 |
ヒワ |
「葦切さんみたいなダメな年上の男頼れると思ってます……?」 |
|
154 |
葦切 |
「この子どこまでもひどい!!」 |
|
155 |
シギ |
「ヒワ……それはちょっと言い過ぎでは……」 |
|
156 |
葦切 |
「帰りたいのは山々なんですけどね、何かいたりしたら嫌だなって思うとな」 |
|
157 |
ヒワ |
「家によく知らない誰かいるなんて人間じゃないから余計に気味悪いですね」 |
|
158 |
葦切 |
「人間だったらもっと怖いわ!」 |
|
159 |
ヒワ |
「それとも私に利用されて、怪人を誘惑してくれたりなんかするととても助かるんですが」 |
|
160 |
葦切 |
「最近の若い子は無茶苦茶をおっしゃる」 |
|
161 |
シギ |
「何を企んでるのヒワ……」 |
|
162 |
ヒワ |
「言った通りですよ、怪人アトリを誘惑してくれたら助かるかなー……なーんて。もちろん文字通りの意味ではないですよ」 |
|
163 |
葦切 |
「へ?」 |
|
|
|
|
|
164 |
シギ |
「ヒワ、本当に尾行するつもりかい」 |
呆れ半分心配半分 |
165 |
ヒワ |
「最近のアトリのお気に入りは葦切さんみたいなので、泳がせて張り込んだ方が解決はずっと早いです」 |
|
166 |
シギ |
「それはそうなんだけど――夜子供が尾行するっていうのも少し怪しいような……昼だから良いって事でもないけど」 |
|
167 |
ヒワ |
「大丈夫です、目くらましの魔法を使って、周りの方には大人の女に見えるように仕向けてあります!」 |
|
168 |
シギ |
「もっとやばいと思うんだけど」 |
|
169 |
ヒワ |
「どうです、大人の魅力にドキドキするでしょう」 |
|
170 |
シギ |
「ドキドキはしませんハラハラならします」 |
|
171 |
ヒワ |
「なんですかシギ、私には大人の女としての魅力が足りないって言うんですか」 |
|
172 |
シギ |
「そういう問題じゃないよね、君どうあがいたって素の状態は少女だからね」 |
|
173 |
ヒワ |
「見る目がないですね、まったく――出ました、シギ! 怪人です!」 |
|
174 |
アトリ |
「オーッホッホッホ、今度こそは邪魔するやつもいないわね。この怪人アトリ、約束とは守るもの。ちゃんと時間通りが現れてやったわよ!」 |
|
175 |
ヒワ |
「出ました、シギ! 怪人です!」 |
|
176 |
アトリ |
「さあ少年、ちゃんと夕飯は食べたのかしら。昼みたいな好き嫌いはお兄さん許さないわよ」 |
|
177 |
葦切 |
「出~た~な~怪人、今度こそ警察に突き出してやっからな」 |
|
178 |
アトリ |
「できるものならやってみなさい、男だからって毎日遅くまで出歩くのは感心しないわね。アンタまだ未成年でしょう、補導されちゃうわよ。アタシが家までついて行ってあげるから、早くお帰りなさい」 |
|
179 |
葦切 |
「そうはいっても家の中まで入ってくるんだろお前! あーもう、こんな事なら忠告通りさっさと帰るんだったなついてねぇ」 |
|
180 |
アトリ |
「留守の間に乾いた洗濯物は取り込んでおいてやったわよ、感謝なさい。雨が降らなくて良かったわね。アンタまたアイロンがけ溜め込んでるんでしょう。まったくもう、本当に駄目な子ね。家事が片付いたらそうね――今夜は寝かさないわよ」 |
|
181 |
葦切 |
「全力でお断りします」 |
必死 |
182 |
アトリ |
「そんな事言って、焦らすのが得意なんだからぁ」 |
|
183 |
ヒワ |
「そこまでです、怪人アトリ! 公衆の面前で何してるんですか、けがらわしいですよ!」 |
|
184 |
シギ |
「そうだぞ子供に見せるものじゃないぞ! 怪人アトリ、貴様は密航の疑いで逮捕状が出ている。今度こそ大人しく星に帰ってもらうからな!」 |
|
185 |
アトリ |
「うるさいわね、お子様はとっととお家に帰って寝なさい。アタシはアンタなんかにキョーミないのよ」 |
|
186 |
葦切 |
「ヒワちゃん、早く逃げるんだ!」 |
|
187 |
アトリ |
「あら、アンタ宇宙管理局のエージェントだったの。道理でしつこいわけね。でもアタシここが気に入ったの。ここにアタシのハーレムを築き上げて従順な下僕達と一緒に暮らすんだから、さっさと帰って頂戴」 |
|
188 |
葦切 |
「俺の意見は無視する気か!」 |
|
189 |
アトリ |
「アンタ達にアタシの癒し計画を邪魔する権利はないのよ」 |
|
190 |
ヒワ |
「酷いですよアトリ! 葦切さんも嫌がってるじゃないですか!」 |
|
191 |
シギ |
「趣味が悪いよ!」 |
|
192 |
アトリ |
「ああもう、うるさいわね!」 |
|
193 |
ヒワ |
「大体葦切さんの何が良いって言うんですか」 |
|
194 |
アトリ |
「平凡な見た目で、突出して何かに秀でているわけでもない。程々に駄目で、アタシがいてやらないとてんでダメそうなところなんて、最高に良いじゃない。ああいう駄目男を飼い殺してこそ伸ばし甲斐があるってものよ」 |
|
195 |
シギ |
「やっぱり趣味悪いよアトリ」 |
|
196 |
葦切 |
「好き放題言いやがって……やっぱり小さい子にお前みたいな変質者の相手は任せられないね。ここは俺が何とかするからヒワちゃんは下がってて」 |
|
197 |
ヒワ |
「葦切さん……」 |
|
198 |
葦切 |
「怪人! 前々からお前に一言言いたい事があったんだ、よーく聞くきやがれ」 |
|
199 |
アトリ |
「あら勇ましいわね、坊や。一体何かしら」 |
|
200 |
ヒワ |
「葦切さん、駄目です! いくら怪人アトリとはいえ危険です!」 |
|
201 |
葦切 |
「是非、この俺を養ってください」 |
|
202 |
シギ |
「こ……この男、何のためらいもなく土下座しやがった」 |
|
203 |
ヒワ |
「……そうでした、葦切さんはそういう人でした。少しでも見直した私が愚直でした――怪人アトリ、知ってます? アトリって鳥は焼いて食べると美味しいそうですよ」 |
|
204 |
アトリ |
「ヒィッ、ちょっと! その手に握ったフォークは何なのよ、何をするつもりなのよ! アンタそれでアタシを刺そうって言うのね! 残念だけどそっちの趣味はないのよ、やめて頂戴!――よだれを垂らすな!」 |
|
205 |
ヒワ |
「やっぱりあなたは世の男を駄目にする怪人です。即刻宇宙に帰還してください、これ以上の不法滞在は許せません」 |
|
206 |
葦切 |
「ちょっと待ってなんで俺もこっち側なの!?」 |
|
207 |
ヒワ |
「鉄・拳・制・裁! 星になぁーれ☆」 |
腹パン |
208 |
葦切 |
「う゛っ」 |
|
209 |
アトリ |
「ん゛っ」 |
悶絶 |
|
|
|
|
210 |
シギ |
「こうしてカケス町の怪人はまた一人、宇宙管理局によって護送されて行った」 |
|
|
|
|
|
211 |
葦切 |
「やあヒワちゃん、今日も怪人退治の仕事かな?」 |
|
212 |
シギ |
「僕もいるよ」 |
|
213 |
ヒワ |
「葦切さん、あれ以来何もないようで安心しました。他の怪人が現れたりなんかしてませんか?」 |
|
214 |
葦切 |
「してないよ。本当にお世話になったし何かお礼がしたいんだけど――えっなんで俺が近付いた分だけ逃げるの」 |
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215 |
ヒワ |
「不用意に近寄らないでもらえます? 微塵もプライドなく、あんな台詞言える人の同類だと思われたくないんで」 |
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216 |
葦切 |
「幼女の俺を見る目がとてつもなく冷たい……」 |
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217 |
ヒワ |
「本日もカケス町は平和です!」 |
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