台本

台本の素材利用は不可とさせて頂いておりますが、非収録の個人練習に関してはこの限りでは御座いません。

番号 台詞(薄字は注釈、描写) 注釈
001 「サンタさんって、グリーンランドってところに住んでるんだって」 無邪気
002 衣砂 「いないよ、サンタさんなんて」 にべもなく
003 「いるんだよ、前に見たことあるんだから」
004 衣砂 「いないってば。あれはパパとかママが……」
005 「なんでいないなんて言うの? お姉ちゃんが見たことないだけかもしれないよ」
006 衣砂 「そんなに言うんだったら、パパに聞いてみればいいじゃない」
007 耀司  サンタクロースの存在を否定するようになったのは、いつからだったろうか。
008 耀司  クリスマスというと、キリストが生まれた事を祝う静かな日であるはずなのに、宗教におよそ疎い日本では、クリスマスと言えば恋人同士で過ごす日の代名詞にもされている。
009 耀司 「それでさ瞳子とうこ、今月は予定空いてたりしない?」
010 瞳子 「今月って言われても、12月はまだ始まったばかりだし……もっと具体的に言いなさいよ」
011 耀司 「ええと、後半……」
012 瞳子 「後半は忙しい。一日くらいなら開けられない事もないかもだけど、もっと詳しく聞かない限りは答えられない」
013 耀司 「く、クリスマス!」 勇気を振り絞って
014 瞳子 「無理」 きっぱり
015 耀司 「な……なんで? いつも暇そうじゃんお前。毎年恒例、皆でぱーっとクリスマスパーティなんてどうかなと思って……声、かけたんだけど、なんかそんな感じの顔じゃないな」
016 瞳子 「当たり前だよ」
017 耀司 「当たり前って」
018 瞳子 「とにかくクリスマスは無理だからね、お兄様が帰ってくるんだもの。『クリスマスなんてクソ喰らえ、リアルソロプレイヤー狩り』主催するんだーって言ってたから、付き合う予定が入ってる。じゃあねー」
 きっぱりと断言され、耀司は打ちのめされた。瞳子は構わずさっさとどこかへ行ってしまう。
019 耀司 「お兄様ぁ? お前兄貴なんて……ちょっと、瞳子!?」
020 タイトル STELLA MARIS - Cruel Christmas Tale
NERVE Presents.
021 耀司 「兄貴だってさー、ねーよ本当。兄貴に負けたのかよ僕は! 大体あいつ兄貴なんていないだろ、誰だよマジ」 仕事中に愚痴
022 夜継 「あらあら、随分気が立ってるみたいね」 苦笑
023 耀司 「幼馴染と兄貴、どっちが大事かと比較されたら凹まざるを得ない」
024 夜継 「なあに、瞳子ちゃんをデートにでも誘ったの?」
025 耀司 「毎年あいつ呼んで、家族ぐるみでクリスマスパーティしてるんだよ。兄貴が帰ってくるから無理って言われた……兄貴なら別に問題なんてないじゃないかー」
026 夜継 「そうねえ、お兄さんなら確かに一緒にいたって問題はなさそうだし……何か別の理由があったりして」
027 耀司 「別の理由ってなに!」 予想外の言葉に驚く
028 直紀 「すみません、お兄さーん。風船くださーい」
029 夜継 耀ようちゃんに言いたくないような理由」
030 耀司 「だからそれは何だよって」
031 夜継 「気になる人がいるとか……はっきり駄目って言うくらいなんだから、彼氏じゃないの?」
032 耀司 「そんな馬鹿なー!」
033 直紀 「ねーねー、お兄さんてばー。それ貰ってもいいー?」
034 耀司 「えっ。あ、ごめん、何かご用?」 ようやく気付く
035 直紀 「風船だよ、その風船欲しいんだ。配ってるでしょ?」
036 耀司 「ああどうぞ。飛ばさないように気をつけるんだぞ」
037 直紀 「ありがとー! サンタさん、お仕事頑張ってねー!」
 風船を手渡すと、子供は嬉しそうに親元にそれを持っていく。
038 耀司 「で、そんな事言うって事は、夜継やとぎちゃん何か知ってるの?」
039 夜継 「いいえぇ私は別に。女の勘て言ったら納得してもらえるかしら」
040 耀司 「夜継ちゃんの勘はよく当たるので恐ろしいんです」
041 夜継 「本当に何も知らないわ」
042 耀司 「……そうですか。何もなければいいなー」
043 夜継 「耀ちゃんはサンタを信じる?」
044 耀司 「この年でそんな質問聞かれるとは思わなかった……。なんで?」
045 夜継 「気の利いたサンタが願い事叶えてくれるかもしれないわよ」
046 耀司 「そもそもサンタも七夕も、願い事が叶う日ではないんだけどね」
047 夜継 「その誤った民間意識のために私達がいるんでしょ?」
048 耀司  サンタクロースの存在が信用されなくなったとしても、変わらないものがある。
 クリスマス商戦? 恋人との語らい? そんなのは僕らには関係ない。子供の夢を守り、子供に夢を与えるのが僕らの仕事だ。
 だけど、少しくらいは期待したって罰は当たらないはず。
049 耀司 「ただいま戻りましたー」
050 瞳也 「おー、お帰りー」
051 耀司 瞳也とうや! こっちに来てたのか」
052 夜継 「あら、久しぶりねえ瞳也君。いつぶりかしら」
053 瞳也 「耀司、耀司じゃないか。お前いつから外任せてもらえるようになったんだ?」
054 耀司 「結構前からだけど……いやそんな事はいいだろ。瞳也、実家出たんじゃなかったっけ」
055 瞳也 「ああ、冬休みだからちょっと戻ってきただけだよ。別に出戻りじゃない。休みの間は暇してる」
056 夜継 「それじゃあ、耀ちゃんとも遊べるんじゃないかしら」
057 瞳也 「遊ぶ? 何か計画でも立ててるのか?」 興味津々
058 耀司 「ああ、ちょっとね」 ※瞳子に断られたため、視線を逸らしつつ
059 瞳也 「丁度いいじゃないか。俺も課題終わってやる事ないし、相手してやるぞ。いつだ?」
060 耀司 「クリスマスにでもと思ってるんだけど……」
061 夜継 「誰も誘わなかったら、家で一人でだらだら過ごすだけだものね」
062 瞳也 「クリスマスか……困ったな、ちょっと予定が入ってる」
063 耀司 「ゲームで引き篭もってばっかりいる瞳也にしちゃ、珍しいな」
064 瞳也 「あーうん、ちょっとねえ。先約が入ってるっていうか」
065 耀司 「またレベル上げか? そろそろカンストするって言ってたっけ」
066 瞳也 「いや転生したから二周目」
067 耀司 「相変わらずの廃人ぶりだな……。まあ無理にとは言わないさ、別の日だっていいだろ」
068 夜継 「ちょっとがっかりしてるでしょ、耀ちゃん」
069 御堂 「なんだね君達、クリスマスの相談事かい。学生は暇そうでいいなあ」 割り込む
070 瞳也 「そんな御堂みどうさんは、相変わらず仕事三昧ですか?」 苦笑
071 御堂 「何言ってんだ、君達も同じだぞ。クリスマスは稼ぎ時なんだからーしっかりしてもらわなくちゃ」
072 耀司 「仕事はちゃんとしますよー」
073 夜継 「あら会長、何か悩み事でもあるんですか?」
074 御堂 「……夜継君は鋭いな。いつも通りにしてるつもりなんだけど」
075 夜継 「ただの勘ですよ」
076 御堂 「いや、君は魔女のような女だよ……」
077 夜継 「何か仰いました?」
078 瞳也 「実は妙な投書があってな。俺もさっき見せてもらったんだけど」 手紙を取り出す
079 耀司 「なになに」
080  こんにちは、しんぶんのおじさん。
 わたしは6さいのおんなのこです。
 じつは、おねえちゃんがサンタさんはいないというのです。
(見づらい場合はこちらで:
今日は、新聞のおじさん。私は6歳の女の子です。
実は、お姉ちゃんがサンタさんはいないというのです)
※手紙の文面
081  パパにきいてみたら、しんぶんのひとにきいてみなさいといいました。
 ほんとうのことをおしえてください。
 サンタクロースはいるんですか?
 きりじょう・ゆめ
(見づらい場合はこちらで:
パパに聞いてみたら、新聞の人に聞いてみなさいと言いました。
本当の事を教えて下さい。サンタクロースはいるんですか?
霧条夢)
082 御堂 「どうしたもんかなー」
083 瞳也 「子供らしくていいじゃないですか。微笑ましいくらいですよ」
084 耀司 「それらしい事、書いてあげたらいいんじゃ?」
085 御堂 「それがねえ。かの有名なサン新聞の手紙と酷似してるんだよねえ。社説で面白い紹介の仕方したの、知ってるかい」
086 夜継 「それは知りませんけど、会長は悪戯だと思ってるって事ですか?」
087 御堂 「分からなかったら『サンタクロースは実在するのか』で調べてみてね!」
088 耀司 「でも字は子供の物でしょ」
089 御堂 「記事にはなるかもしれないけど、どうしたものかなー」
090 夜継 「困った事と言えば、最近お騒がせのサンタ二人組がいますよ」
091 耀司 「何だそれ」
092 御堂 「街中で仲睦まじいカップルを見つけては、嫌がらせをしていくサンタの格好した二人組」
093 瞳也 「し、知らないなあ」 ※片方は本人。
引きつった誤魔化し
094 耀司 ひがみでやってるんじゃないのか?」
095 夜継 「僻みって言えば僻みかしらねえ、色々とお仕置きと銘打ってるみたいだから」
096 御堂 「お仕置きねえ。こういう手紙も来る事だから、君達子供らの信頼を裏切るような真似はしないでくれよ」
097 耀司 「分かってますってば、十分気をつけてるつもりですよ」
098 御堂 「それと、もう一つ頭を悩ませる事があるんだけど」
099 瞳也 「御堂さんがそんなに悩む事って、何があったんです」
100 御堂 「怪人Xエックスを知ってるかね」
101 耀司 「怪人X? アニメですか」
102 御堂 「残念な事に実在するんだよ、アニメなら良かったね」
103 夜継 「あら、これの事かしら」 御堂から封筒を奪う
104 御堂 「ちょっと、手癖が悪いぞ夜継君!」
105 夜継 「クリスマスの夜、貴方の……何? 滲んで読めないわ……を盗みに参ります。怪人X」
106 瞳也 「『心』だったりして」
107 耀司 「気持ち悪いな」
108 御堂 「誰に宛てたのかも分からないんだよね、困った事に」 苦笑
109 耀司 「しかも文字が新聞の切り抜きですよー、このご時世パソコンで打ってプリントアウトしたらいいのに。殺害予告みたいじゃないですか」
110 夜継 「気持ち悪いので無視しましょう」 にっこり
111 瞳也 「もう一枚入ってますよ」
112 耀司 「悪辣サンタは正すべき、この私めが世直しに参上致す」
113 御堂 「……こちらの業務に支障が出なければいいけど」 ※御堂は石蕗の事を言っている。
114 瞳也 「そうそう、そうだった。その話ですよ。クリスマスは仕事入ってるじゃないか、何でまたクリスマスに予定を入れようとしたんだ耀司」 ※御堂の話は仕事の事だと思い込み。
115 耀司 「終わったあとだよ。24時間休みなしで働くわけじゃないだろ」
116 夜継 「折角瞳子ちゃんを誘ったのにふられちゃったから、気が立ってるのよ。気にしないであげて」
117 御堂 「ほーう、耀司凹んでるな」 からかう
118 耀司 「会長には関係ないです。いいんですよ別にー。どうせ僕はクリスマスは仕事三昧ですよー、くそー」
119 夜継 「怪人は放っておいても勝手に動いてくれそうだし……とりあえずは、カップルを狙って嫌がらせをしていくと言うサンタの方を何とかすべきでしょうねぇ。こちらの信頼に関わりますよ」
120 瞳也 「放っておいてやった方がいいんじゃないか? あんまり被害は出てないんだろ?」
121 御堂 「あんまりと言っても、実際のところもっと陰湿っていうか……」
122 耀司 「どんな感じに?」
123 御堂 「カップルが仲良さそうにしてたところを、口論になるように仕向けたり……」
124 耀司 「そりゃ陰湿だ」
125 御堂 「まあ警察沙汰にならない程度だから、どうしようもないといったところなんだけど」
126 耀司 「でも、うちの業務もサンタの格好するんですよ。それも配達となれば、間違えられたらすごーく面倒な事に」
127 御堂 「そうなんだよ。もしその二人組を見つけたら連れてきて欲しいんだけど、耀司と夜継君に任せて良いかな」
128 夜継 「私は構いませんけど……ねぇ?」 ※耀司がと言いた気
129 耀司 「気を遣わないでいいよ夜継ちゃん。やりますよ、やればいいんでしょう?」
130 御堂 「おう、任せたぞー。出現場所は石蕗つわぶきが知ってるから、聞き出してよ」
131 瞳也 「石蕗さんって、確か同僚の」
132 御堂 「そうそう。冗談通じない奴ね」
133 瞳也 「面倒くさい事になったなあ」 若干困惑
134 耀司 ――そう、僕らはサンタの格好をして、クリスマスのイベント業務を代行するサンタ協会の人間なのである。
135 耀司 「夜継ちゃんはいいの?」
136 夜継 「何が?」
137 耀司 「何か予定入ってないの? クリスマス過ぎるまでこんな調子じゃ、まともに遊べそうにもないよ。かれこれ二週間こんな感じなんだし」
138 夜継 「別に予定なんてないわよ。兄さんは忙しくて帰って来れそうにないって言うし、姉さんは旦那の実家に行くって言うし。ちい兄は彼女が出来たって浮かれてたから、暫くは戻ってこないでしょうねえ」
139 耀司 「あ、相変わらず家族構成の分からない家だ……」
140 夜継 「会長をからかって遊ぼうにも、この時期は立て込んでるみたいだものね」
141 耀司 「石蕗さんは? ほら、会長の仕事仲間の」
142 夜継 「瞳子ちゃんを誘おうにも予定があるようじゃねぇ」 スルー
143 耀司 「スルーですか……。石蕗さんから貰ったメモは?」
144 夜継 「これのこと?」 手紙を差し出す
145 耀司 「石蕗さんは何か言ってた? あの人取材で忙しいって聞いてたけど」
146 夜継 「ああそれなら」
147 怪人(石蕗) 『大変だと思いますけど……が、頑張って下さいね』
148 夜継 「ですって」
149 耀司 「……早いところ見つけて戻ろうよ、寒いのに張り込みなんて最悪だ」
150 夜継 「待って。耀ちゃん耀ちゃん、あれ――」
 そういって夜継は喧嘩中のカップルを指差した。
151 律香 「信じらんね、サイッテー!」 ※歩行者天国のど真ん中で痴話喧嘩
152 孝人 「待ってよりっちゃん、誤解なんだってば!」
153 律香 「何が誤解だよ、れっきとした浮気だろ。アタシが気付かないとでも思ってんの?」
154 孝人 「だーから、違うってば!」
155 律香 「じゃあ、携帯に来てたメールは何。知らない女の名前だっただろ」
156 孝人 「迷惑メールだってば。りっちゃんが言ってた診断やるのに登録したら送られてきて、こっちも迷惑してんだよ」
157 律香 「そんなの言い訳だろ。男なら正直に言いな、嘘ついたってすぐにバレるんだから」
158 孝人 「本当だってば! どう言や、君は納得すんの!」
159 律香 「もういいよ、クリスマスもチャラな。やっぱ友達と遊ぶわ」
160 孝人 「りっちゃん!? 俺の話をちゃんと聞いてよ!」 切実
161 律香 「あ、もしもし?」
 律香が携帯電話を取り出したところで、巨大な物体が目の前を通り過ぎる。学生は慌ててそれを避けようと尻餅をついた。
162 孝人 「うわあ! あぶな!」
163 瞳子 「あっはっは、私の前でイチャイチャしようなんて100年早いわ。クリスマスは、断じて、恋人同士の日じゃないのよー」
164 瞳也 「喧嘩は良くないぞー」
165 孝人 「ちょっと、何ですか貴方はー! いきなり何するんですか!! 当たったら死にますよ!」
166 瞳子 「死なないわよ、中身は軽いものばっかりだから。ずっと目の前でイチャイチャ、イチャイチャ鬱陶しいったらないのよ!」
167 律香 「八つ当たりかよ、マジウザいんですけどー」
168 瞳也 「何を言うかー、八つ当たりではないぞ。いくらここが歩行者天国とはいえ、こんな往来を占拠して痴話喧嘩してる君達にも非があるなー」
169 瞳子 「いいから、ちょっとこっち来なさい」
170 耀司 「何だありゃ……」 ※影から様子を伺う。
171 夜継 「赤い服を着た二人組だし、問題のサンタじゃないかしら」
172 耀司 「まさかー。だってあれって、どう見ても……」
173 孝人 「人気のない場所に連れ込んで、何する気なんですか一体!」
174 瞳子 「オラオラー、ちょっとそこで縦に飛んでみろよー。チャリチャリ言ってんだろー」 やさぐれ
175 孝人 「ひーん」
176 瞳也 「おーい、目的が変わってるぞー」
177 瞳子 「はっ、そうだったわ。あんた達怪人Xって奴知らない?」 我に返る
178 孝人 「怪人? 何ですかそれ」
179 律香 「頭おっかしいんじゃないの? なんかヤバそうな格好してるしー」
180 瞳也 「黒服の変人なんだけど、見たこととか噂を聞いた事ない?」
181 孝人 「し、知りません」 否定
182 律香 「ちょっとー、もう帰ってもいいでしょー」
183 瞳子 「本当に知らないの?」 念押し
184 律香 「知ってるわけなんでしょ、ふざけてんのは格好だけにしなよ。ほら孝人行くよ」
185 孝人 「えぇ、ちょっと、待ってよ」
 学生がずるずると引き摺られながら、その場を去ろうと立ち上がる。
186 瞳子 「もー、なんでよー」
187 瞳也 「仕方ないなあ、地道に探そうか」
188 瞳子 「面倒くさいなぁ」
189 怪人 「はーっはっは!」 高笑い
190 孝人 「またですか! 今度は何!」
191 怪人 「悪辣サンタがいると聞き、この私怪人Xが世直し見参! とう!」
 黒服を纏った男が高い場所から飛び降りる。それを見て思わず耀司は声を上げた。
192 耀司 「あーっ! 出た!」
193 夜継 「耀ちゃん!?」 耀司の後を追う
194 瞳子 「出たわね変人! いっつも私の邪魔ばっかりして、一体何が目的なのよ!」
195 律香 「何してんの孝人! 今のうち今のうち!」 逃亡
196 怪人 「決まってるじゃないか、君達二人がろくでもないことばかりしてるから、黙って見ていられなくなったんだよ」
197 瞳子 「人前でぎゃーぎゃー騒ぐバカップルが悪いのよ!」
198 瞳也 「いや、お前も職質受けてもおかしくない事してるけどね」
199 瞳子 「うっ、それは否定できないけどー」
200 怪人 「どうやら私を探していたようだが?」
201 瞳子 「探したわよ。いつもは敵前逃亡だけど、こちとら悪のサンタ協会! 逃げてばっかりじゃ格好悪いわ、受けて立とうじゃない」
202 怪人 「ほーう、言ったな?」
203 瞳也 「言っちゃったなぁ」
204 怪人 「じゃあその心意気に免じて答えてあげよう。君の行動は少し目に余る。君を追い回している新聞社のためを思うなら、君を叱る人間がいるべきだ。何せ私は正義の味方。君を正そうと私が出てくれば、彼女は出てくるに違いない」
205 瞳子 「彼女?」
206 怪人 「かの麗しの君、しかし魔女のような女だよ」
207 瞳也 「魔女ねぇ、聞き覚えがある気がするなあ」
208 怪人 「予告状は既に出した。あとは彼女が来るのを期待するだけさ」
209 瞳也 「予告……あ!」
210 瞳子 「え? お兄様心当たりあるの?」
211 瞳也 「いや、その、ちょっとあるかも」
212 怪人 「さあ無音よばらず瞳子! 私に大人しくさらわれるがいい!」
213 瞳子 「何すんのよ! 寄らないで、変人!」
214 怪人 「失礼だな、私は紳士だぞ」
215 耀司 「瞳子! 無事か!?」 飛び出す
216 瞳子 「耀司!? なんでここにいんのよ! っていうか、しまった、私今瞳子じゃ」
217 瞳也 「げっ、耀司!」
218 耀司 「おい変人! ちょっと待ったぁ!」
219 怪人 「んん?」
220 耀司 「これを見ろー! 出でよー、聖剣エクスカリバール!」
221 瞳也 「攻撃力は上がるが命中率ダウン、レベル60から装備できるぞ!」 説明口調
 耀司は近場に放置されていたバールを手に、振り上げる。
222 怪人 「バールじゃないか! 馬鹿、それはやめろ、お前殺人犯になるぞ!」 引きつる
223 耀司 「うるさーい、瞳子を離せ!」
224 怪人 「いいから落ち着け、落ち着いてそれを置くんだ。それだけは駄目だ、君も私も大変な事になるぞ。そして君がいると言う事はだな」
225 耀司 「変質者は今俺が退治してやる、待ってろ瞳子ー!!」
226 怪人 「話聞いてないし! くそ、こうなったら予定変更だ、出直してくるしかない!」
 怪人が悲鳴を上げ、目の前に飛び出した夜継が懐に飛び込む。
227 夜継 「瞳子ちゃん! こっちへ!」
228 怪人 「この子は頂いて行くぞ! フハハハハ!」 高笑いで逃走
229 瞳也 「待て、逃がさないぞ!」
230 耀司 「瞳子!」
231 瞳子 「私はこっち!」
232 瞳也 「あれ、瞳子? じゃあ誰が……」
233 耀司 「夜継ちゃん? 夜継ちゃんがいない!」
234 瞳子 「さっき夜継が庇ってくれたの」
235 直紀 「ねえねえ、これって何かの撮影?」
236 瞳也 「え……君、どこから来たんだ?」
237 直紀 「サンタさん対怪人X! 戦うサンタさんカッコイイ!」
238 耀司 「こっ、子供に見られたー!」
239 怪人 「さて、ここまで逃げればひとまず大丈夫かな。君には少し大人しくしててもらうよ、瞳子ちゃ……」
240 夜継 「残念だけど、私は瞳子ちゃんじゃないわよ」
241 怪人 「夜継君ー!?」 仰天
242 夜継 「お目当ての子じゃなくてお生憎様ね、怪人さん。私に会いたいようだったけれど、一体何が目的だったのかしら?」
243 怪人 「フ、フフフ、それはだな」
244 夜継 「来ないで頂戴」 ファブリーズ
245 怪人 「ぐあーなんてことをする! いきなりファブられたああ!」
246 夜継 「あの子達二人が先に騒ぎを起こしたのか、それとも貴方が先に騒ぎを起こしたのか、私はどちらでも構わないけど。こういう手の込んだ事は、せめて警察沙汰にならない程度にして頂戴ね。私がお父様に怒られるのよ、このクズめ」
247 怪人 「流石だ夜継君、マゾ心をくすぐられるよ」
248 夜継 「様をつけろよ、この野郎」
249 怪人 「夜継君、俺様だ! 踏んでくれ! 是非!」
250 夜継 「様をつける場所が違うわよ。普段は堅い真面目な人だとばっかり思ってたのに、がっかりだわ石蕗さん」
251 怪人 「おや、怪人の正体を知っては命がないぞ」
252 夜継 「あら、紳士なんでしょう? 妙な事はしないって期待してるわ」
253 怪人 「しないしない。勿論しないとも。予定は滅茶苦茶になってしまったが、私は別に君でも構わない」
254 夜継 「何か計画があるようだけど、当初はどうするつもりでいたの? それくらいは聞かせて貰っても良いわよね、被害者なんだし」
255 怪人 「瞳子ちゃんをさらったら耀司が来ると思ってね。あの二人を放って置いたらもどかしいというか、耀司があんまりに可哀想すぎるのでー」
256 夜継 「ところが、間違えて私を連れてきてしまったと」
257 怪人 「そういうことです。ところで君、血液型は?」
258 夜継 「輸血が必要になるような危険な業務があるんですか?」
259 怪人 「くっ、ガードが固い! まあいい、全てはこれが終わってからだ。君には暫し人質になってもらわなければね」
260 夜継 「高くつくわよ」
261 怪人 「君だって本望だと思うんだけどな。なんてったって、私が呼び出すのは耀司達だぞ」
262 夜継 「そっ……そうね、ということは瞳子ちゃんが私を助けに来てくれるのかしら、ウフフ」 ぐらりと気持ちが揺らぐ
263 怪人 「……あの生意気娘の何がいいのかさっぱり分からん!」
264 耀司 「困ったな、夜継ちゃんだから何とかなるかもしれないけど、やっぱり心配だ……。で、何でこんな事したんだ、瞳子。おい逃げるなそっちのサンタも。お前瞳也だろ」
 途端に静まり返ってしまった現場で、やり場のない不安を覚えながら耀司が尋ねる。
265 瞳也 「いつから気付いてた?」
266 耀司 「いつからも何もそのまんまだろ」
267 瞳也 「やっぱ耀司にはバレバレだったかー」
268 耀司 「まったくもー、瞳子の所為だぞ。お前がこういう騒ぎを起こすから、あんな変な奴呼び寄せるんだ」
269 瞳子 「それは! ……それは、悪いと思ってるけど……」 図星
270 瞳也 「耀司ー、瞳子の言い分も聞いてやれよ」
271 耀司 「昔から悪戯好きでよく問題起こすけど、その度痛い目見てるじゃないか。いい加減学べよ」
272 瞳子 「よ、耀司に言われなくたって分かってるわよ……耀司が機嫌悪いのも、全部私の所為だって言いたいんでしょ! 分かったわよ、私が責任持って夜継を助けに行くわよ!」
273 耀司 「待てよ瞳子、そうじゃない! 何もそこまでは……」
274 瞳子 「耀司の手なんて借りない!」
275 耀司 「おい、待てってば! 瞳子! そうじゃないんだって」
276 瞳也 「あちゃー……ありゃ引っ込みがつかなくなったな、暫く帰って来ないぞ」
277 耀司 「別にそこまで言うつもりじゃ……」
278 瞳也 「分かってるよそんな事」 呆れる
279 耀司 「やめさせなかった瞳也も同罪だぞ」
280 瞳也 「瞳子が楽しそうだから、それでいいと思ったんだよ」 投げやり
281 耀司 「他人に迷惑かけてるだろ、止めろよなホント。大体お前は瞳子に甘すぎる」
282 瞳也 「仕方ないだろー」
283 耀司 「なんで仕方ないんだよ」
284 瞳也 「妹だから」
285 耀司 「妹?」 反芻
286 瞳也 「そう、妹」
287 耀司 「じゃあ、お兄様ってお前の事だったのかー!!」
288 瞳也 「言ってなかったっけ、うちの養子になったんだよ」
 耀司が叫ぶのをよそに、瞳也が苦笑する。そこで突如携帯が鳴った。
289 耀司 「あれ、誰からだ?」
290 瞳也 「メールかー?」
291 耀司 「電話。会長からだ。会長、何かあったんですか!」
292 御堂 『今どこにいるんだい、すぐ戻って来るように』
293 耀司 「すぐって……もしかして、夜継ちゃんの居場所の連絡が入ったんですか!?」
294 御堂 『その通り。何故か僕のところに捨てアドレスらしきところからメールが届いたんだけど、君達に見てもらった方が良いと思ってね』
295 耀司 「読んで下さい」
296 御堂 『鵠夜継は預かった。返して欲しくば新聞社裏の倉庫まで来られたし』
297 瞳也 「新聞社って御堂さんのところで良いんですかね」
298 御堂 『多分そうだろうな。ご丁寧に地図も添付されてるよ。必要ならこの後送るけど』
299 耀司 「一応下さい」
300 御堂 『分かった。そのまま向かうのかい?』
301 耀司 「勿論!」
302 御堂 「やれやれ、どうしてこんな事に巻き込まれたのやら」 通話切断後、溜め息
303 瞳子 「考えてみれば、人生そのものがクソゲーよね。今までが酷かった事をすっかり忘れてたわ。今までの事を考えたらなんて事はないわよ、耀司に信じて貰えないくらい。そうよ、もう怖い物なんてないわよ。見てなさいよ……」
 バット片手に瞳子が倉庫前に佇む。
304 瞳子 「出てきなさい、怪人! 夜継を返しなさーい!」
305 怪人 「単独で乗り込んで来ちゃった……しかも装備がバット」
306 夜継 「あら瞳子ちゃんが私を助けに来てくれるなんて!」
307 怪人 「夜継君ー! そんな女はいい、俺を見ろ!!」
308 夜継 「私の瞳子ちゃんに向かって『そんな』とは、どういった了見ですか?」
309 怪人 「いえ、なんでもありません。あの娘の何がいいんですか夜継様」 気圧される
310 夜継 「不良ぶってた瞳子ちゃんも悪くなかったけど、いい子になろうと頑張ってる今の瞳子ちゃんも見ていて可愛い」
311 怪人 「分からん……クソ生意気で鬱陶しいだけじゃないか……」
312 夜継 「大丈夫ですよ、石蕗さんだって装備がないわけではないでしょう?」
313 怪人 「こっちは杖なんですけどね」
314 夜継 「頑張って退治されて下さいね」
 夜継の棘だらけの笑顔に見送られ、怪人はとぼとぼと歩き出した。
315 瞳子 「私とお兄様の邪魔ばっかりする不審者は、この私が警察に突き出してあげるわ。私だってお咎めなしってわけにはいかないでしょうけど」
316 怪人 「何故巻き添えにするのかと」
317 瞳子 「どうせ私も怒られるんだもの。やってる事は大して変わらないわ、同罪よ」
318 怪人 「残念だが成人男性相手に子供の君じゃ、腕力では適わんよ」
319 瞳子 「それはどうかしら!」
 白い袋から取り出した硬球を放り上げ、怪人に向けて打つ。
320 怪人 「うわわ」
321 瞳子 「せい!」
322 怪人 「瞳子ちゃん! 野球のボールと言うのはだね! 当たると痛いんだよ!」
323 瞳子 「知ってるわよ! それが何!?」
324 怪人 「君は私を殺す気か!」
325 夜継 「瞳子ちゃん、あわよくば当ててしまいなさい」
326 瞳子 「あはははははは!」
327 「お姉ちゃん、こっちこっち。こっちだよ。はやくはやくー」 ※倉庫外から
328 衣砂 「夢、こんなところにサンタさんがいるわけないでしょ」
329 「本当に見たんだってば」
330 衣砂 「何かと見間違えたんだよ。大体サンタの格好してるお店の人なんて、この時期いっぱいいるんだから」
331 「お店の人っぽくなかったもんー」
332 怪人 「ちょっと待った瞳子ちゃん」
333 瞳子 「何よ」
334 怪人 「何かまずそうな雰囲気ではないかね」
335 瞳子 「何がよ」
336 夜継 「外から子供の声が聞こえてくるようね」
337 「本当にサンタさんがいたんだってば、お姉ちゃんにも見せたげるよ。ゆめ、嘘なんてついてないんだから」
338 衣砂 「だからそれはきっと本物じゃないって……」
 夢が指差した先を確認し、衣砂が固まる。
339 「ほら、サンタさん!」
340 怪人 「げっ、子供!」
341 衣砂 「もしもし、あの、警察ですか!」 通報
342 怪人 「わー! ちょっと待ったー!!」
 慌てて携帯を取り出した衣砂を押さえ込もうと怪人が走る。
343 衣砂 「へんたーい!」
344 瞳子 「やってくれたわね、変人。これで遠慮なく退治できるわ」
345 怪人 「えっ、ちょっと!」
346 瞳子 「子供を人質に取ろうなんて良い根性してるわね」
347 怪人 「取ってないじゃないか! よく見ろ、君の目は節穴か!」
348 夜継 「そう、根性腐ってるわね……色々酷い目に遭わせてくれたじゃない」
349 怪人 「いつ!? どんな!」
350 夜継 「私の口からはとても言えないわ……」
351 怪人 「捏造やめて!」
352 瞳子 「最低だわ……最低よ変人、女の敵。許せない!」
353 「たすけてー」
354 瞳也 「子供の声だ! 耀司、こっちだ!」
 駆けつけた瞳也が倉庫を見つける。
355 耀司 「瞳子、夜継ちゃん! 二人とも無事か!? なんともないな?」
356 瞳子 「耀司! なんであんたがここに来てんのよ!」
357 耀司 「それよりこれはどういう事だ? どうなってるんだ」
358 瞳也 「人質は夜継ちゃんだけじゃなかったのか」
359 瞳子 「あの変人が子供を人質に取ったのよ、卑怯でしょ!」
360 耀司 「なんだって?」
361 怪人 「色々ある事ない事追加されてない!?」
362 耀司 「瞳也、子供を頼む」
363 瞳也 「いいけど、そっちはお前だけで大丈夫か?」
364 耀司 「多分。そんなに強くなさそうだし」
365 怪人 「それどころか既にボロボロです!」
366 夜継 「そんなに強くないから大丈夫よー」
367 瞳子 「なんで、なんで耀司がここにいるのよ……」 動揺
368 耀司 「大丈夫か瞳子。それ貸せ、バット」
369 瞳子 「私の事信用してなんかなかったでしょ、何であんたここにいるのよ」
370 耀司 「な、なんで泣いてんの?」
371 瞳子 「泣いてない!」
372 耀司 「あ、分かった。おい変人! 瞳子を泣かせたのはお前か!」
373 怪人 「断じて私の所為ではない。ずるいな女の涙は! ちょっとー少し助けてよー夜継君ー」
374 夜継 「……きっかけ作ったのは貴方だし、仕方ないんじゃない?」
375 怪人 「夜継君ー!?」
376 耀司 「オラァ、変人! 成敗!」
 瞳子から奪い取ったバットでぼこりと一発殴る。
377 瞳也 「怪人を倒した! 強さが3上がった。仁科耀司はレベルアップした。レベルうpおめでとう」
378 耀司 「黙れゲーム脳」
379 夜継 「あらー、良かったじゃない。手加減してもらえたじゃない」 伸びてる石蕗を覗き込む
380 衣砂 「ほら、やっぱりサンタさんなんていなかったんだ」
381 「そんなぁ……」
382 瞳也 「ああヤバイヤバイ」
 瞳也が慌ててポケットを探り、フォローしようと子供に近付く。
383 衣砂 「ね、お姉ちゃんが言ったのは間違いではなかったでしょ? 分かったらあんな手紙、もう出さないの」
384 瞳也 「ねえねえ、君達お名前は?」
385 衣砂 「知らない人には答えちゃ駄目って、ママが言ってた」
386 瞳也 「うっ、怪しい人じゃないよ」
387 「ゆめ、っていうの」
388 瞳也 「ゆめちゃんか」
389 「お兄ちゃんはサンタさんなの?」
390 衣砂 「サンタの格好してるだけの人よ」 断言
391 瞳也 「一応証明書があるんだけどなあ」 困り気味
392 衣砂 「『サンタ協会日本支部』……なにそれ」
393 瞳也 「サンタは世界中の子供達にプレゼントを配るのが仕事だからね。一人じゃ大変なんだよ。僕はちゃんと許可を貰って、サンタの長老の手伝いをしてるんだよ」
394 「ゆめも大きくなったら、サンタさんのお手伝いしたい!」
395 瞳也 「じゃあ、クリスマスイブの夜までに、『大きくなったらサンタクロースになりたいです』ってお手紙を書くんだ。いつもいい子にしてれば、候補になれるかもね」
396 衣砂 「……本物なの?」
397 瞳也 「本局に問い合わせてみる?」
398 衣砂 「そ、そこまで言うなら信じる……あんまり信じられないけど」
399 瞳也 「それと、ここで何があったか言わないように。お兄さんからのお願いだ」
400 衣砂 「パパにも?」
401 瞳也 「パパにもだ。サンタさんとの約束だよ」
402 「分かった!」
403 瞳也 「よーし、いい子だ。これをあげよう」
404 「お菓子だ! 有難うお兄ちゃん!」
405 瞳也 「どういたしましてー。気をつけて帰るんだぞー」
 子供達が去った後、夜継が感心する。
406 夜継 「瞳也君、用意が良いのねえ」
407 瞳也 「いざという時のためにちょっとお菓子用意しておいたんですよー、子供が相手じゃないと通用しないけど。手持ちの物以外は瞳子が持ってたし」
408 耀司 「瞳子、おい大丈夫か?」
409 瞳子 「煩い」
410 耀司 「おい。なんで泣いてんだよお前」
411 瞳子 「あんたの所為よ、馬鹿ー!」
412 耀司 「待てってば! 意味分かんないぞ!」
 慌てて瞳子を追って出て行った耀司を見送りながら、夜継が振り返る。
413 夜継 「瞳也君は追いかけなくてあげなくていいの?」
414 瞳也 「俺が行ったって仕方ないでしょ。折角だから二人きりにさせてあげようよ」
415 夜継 「それもそうね。耀ちゃんはクリスマスふられてたものね。変人の計画通りなのが納得いかないけど」
416 瞳也 「それより石蕗さ……怪人は?」
417 怪人 「いたーい」
418 夜継 「自業自得ってところかしらね」
419 瞳也 「仕方ないなあ。治療くらいはしてやるか」
420 瞳子 「何でついてくんの、どうせ怒るんでしょ」
421 耀司 「怒ってない」
422 瞳子 「じゃあ何なのよ一体!」
423 耀司 「え、いや、な……なんでだったっけっかな……怒ってるといえば怒ってるけど」
424 瞳子 「忘れたの? 馬鹿じゃないの?」
425 耀司 「う、煩いな、どうでも良くなったんだよ。何でお前あんな事したんだ」
426 瞳子 「サンタの件なら、怒られるの分かってるから答えるつもりはない」
427 耀司 「夜継ちゃんの件だ。一人で行ったら危ないのは分かってただろ」
428 瞳子 「どうにでもなると思ったんだもん」
429 耀司 「何かあったらどうするつもりだったんだ、ハラハラしたじゃないか!」
430 瞳子 「何でアンタがハラハラすんのよ」
431 耀司 「い、いや別に……それよりお前、瞳也ん家の養子になったなんて話、聞いてないぞ」 誤魔化し気味
432 瞳子 「誰から聞いたの?」
433 耀司 「瞳也だよ。何で僕に言ってくれなかったんだ、幼馴染だろ」
434 瞳子 「言う程の事じゃないと思ったの」
435 耀司 「それにしたって……」
436 瞳子 「耀司は知ってるでしょ。お父さんもお母さんも、私みたいな娘はいらないって親戚中たらい回しにされてた事。私に優しくしてくれたの、お兄ちゃんくらいだったし。それまでは夜継にも世話になっちゃったし」
437 耀司 「夜継ちゃんに? なんで?」
438 瞳子 「警察の偉い人の娘なんだよ、知らないの?」
439 耀司 「マジっすか」
440 瞳子 「夜継が本気で私の事怒ってくれたから、悪い事はもうやめようと思ったんだけど……」
441 耀司 「反省は分かったけど、サンタの格好で嫌がらせしてたのは?」
442 瞳子 「最初は喧嘩してるカップルの仲裁だったんだよ。お兄ちゃん誘ってみたらさ、いいよって。段々エスカレートしちゃって」
443 耀司 「……エスカレートってもんじゃなかったぞ。お前、ただでさえ周りが見えなくなるんだから、瞳也を巻き込むなよな」
444 瞳子 「お兄ちゃん優しいから、なんでも言う事聞いてくれるんだ。こんな馬鹿みたいな事にまで付き合ってくれてさ、それでつい甘えちゃって……でもやっぱり、何か違うんだよ。私には、駄目な事はちゃんと怒ってくれる人がいいみたい」
445 耀司 「……僕で我慢しろよ」
446 瞳子 「なにそれ」
447 耀司 「お前に振り回されたら、瞳也の身が持たないだろ。僕で我慢しろって言ってるんだよ、付き合ってやるからさ」
448 瞳子 「……耀司って、時々わけ分からない事言うよね」 ぽつり
449 耀司 「人の好意につけこんで、お前と言う奴は!」
450 瞳子 「本当の事じゃん〜」
451 耀司 「それで、お前が持ってた袋の中身はなんだったんだ?」
452 瞳子 「失敗したケーキ。クリスマスに家で焼こうと思って、練習してたやつ」
453 耀司 「そんなもん投げるな! お前今までよく補導されなかったな! やっぱ一度怒られるべきだ!」
454 瞳子 「うう、分かってる! あの二人しょっちゅう喧嘩してて顔覚えてるから、今度見かけたらちゃんと謝るってば!」
455 耀司 「もしかしてあの二人組以外は」
456 瞳子 「八つ当たりしたのはあの二人だけ。あとの騒ぎは怪人」
457 耀司 「本当か?」
458 瞳子 「そんな事で嘘はつかない」
459 耀司 「……そういえば、怪人って結局……」
460 御堂 「あーこれは手ひどくやられたねぇ、まあ仕方ないか」 苦笑
461 怪人(石蕗) 「途中で御堂が裏切るとは思ってなかった……てっきりこちらについてくれると思っていたのに」
462 御堂 「裏切るも何も、僕があんなものやったらバレバレだろう?」
463 夜継 「あの二人は、石蕗さんだって事に気付いてないみたいですけどね」
464 瞳也 「手加減してくれたんだから良いじゃないですか。明日は筋肉痛かもしれませんけど」
465 夜継 「ドサクサに紛れて下心発揮してるんだもの、誉めるところがないわ」
466 瞳也 「下準備にしても、ちょっとやりすぎてますよ」
467 怪人(石蕗) 「肝心のあの二人は上手くいったんですかね。こうして体を張ったんだから、それ相応の結果は待ってるでしょうね!?」
468 瞳也 「無理だと思いますよー、互いに好意に気付いてないから」
469 怪人(石蕗) 「殴られ損かよー!!」